Mayのブログ

読んだ本についての感想など。

2021-01-01から1年間の記事一覧

「私をくいとめて」 綿矢りさ

主人公は、「ギャル」になれるほど若くはなく、「おばさん」というほどでもない、微妙な年頃の独身女性です。性格的に少し怖がりなのかな?と思えるところがあり、普通とちょっと違うところがあります。それは、自分の頭の中にいる別人格と脳内で会話をする…

パンとスープとネコ日和「今日もお疲れさま」 群ようこ

今回は(私にしては)いつもよりちょっぴり長めの、気合いの入ったブログです。…いや、いつもテキトーという訳ではないのですが…(^_^;) 🐈‍⬛ 🐾🐾🐾🐾🐈‍⬛ ‍⬛この小説は、1話完結型のシリーズ「パンとスープとネコ日和」の、5作めの作品になります。主人公は、スープと…

「ゴールデンカムイ」 野田サトル

9月20日まで「となりのヤングジャンプ」で無料公開していた「ゴールデンカムイ」。 北海道を舞台にしたこの壮大な物語は、函館出身の私にとっては特に胸に刺さるものでした。ストーリーのざっくり説明をすると、日露戦争からの帰還兵、杉元佐一とアイヌの少…

「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」 佐藤愛子

初めて佐藤愛子先生の作品を読んだのは、中学生くらいの時です。もう題名などは忘れてしまったのですが、日常の出来事や、憤怒の体験などを面白おかしく綴ったエッセイでした。それ以来、佐藤先生の本を度々読んでいます。初めて読んでから、考えるともう、…

「越境者」 C・J・ボックス

お馴染みのジョー・ピケットシリーズ、第14弾です。私は全部の巻を読んだ訳ではないのですが、ここまでくると多くの登場人物に親しみを感じるようになり、その事がストーリーをさらに面白くしているのではないかと考えます。 主人公のジョー・ピケットは、猟…

「震える牛」 相場英雄

最初はレイチェル・カーソンの「沈黙の春」のような、環境破壊に警鐘を鳴らす本かと思いました。ですが、そうではなく、ミステリーでした。ミステリーとはいえ、日本の社会問題を描いた、骨太なミステリーです。ここで描かれた社会問題とは、日本の地方に起…

「エブリシング・フロウズ」 津村記久子

津村記久子さんは最近知った中で1番好きな作家さんです。この作者さんのどういうところが好きなのかというと、 「日常のあるある」や「ちょっとヘンだけど有り得なくもない事」が、小説に生かされているからです。あとは、少しクールな感じの主人公が多いと…

「死の島」 小池真理子

小池真理子さんは昔から好きな作家さんです。昔はミステリー、その後、恋愛小説へと作風が変わったなという印象が強いのですが、 この「死の島」という小説は、そのどちらでもありません。「死」に直面した人間の心理を深く追求した小説です。小池真理子さん…

「女子的生活」 坂木司

たまに私は、「今までの人生の中で1番気楽だった時期はいつだろう?」と、考えます。そしていろいろ思い返しながら、「就職をして実家を出て、姉と二人暮しをていた頃かもしれない。」という考えに辿りつくのです。姉とは仲良しで、休日にはよく一緒に遊びに…

「鶏小説集」 坂木司

鶏料理が出てくる小説集です。と言っても、グルメ小説ではありません。 この作者さんの別の作品に「肉小説集」というものがあり、それに関連しているようです。 (続編とかではないようですが) この本に収められている、5編の小説の主人公は、学生や父親や…

「破れざる者たち」 沢木耕太郎

この本は、ボクサーや野球選手、競走馬や長距離ランナーについてのルポをまとめた本です。昭和50年代頃に書かれたものらしい上に、私にはスポーツ全般に対する知識がないため存じ上げない方々ばかりでした。ですがそんな私でも心が動かされる部分が多く、ス…

「小さいおうち」 中島京子

この物語は、女中奉公をしていたタキさんが、若い頃の事を書いた覚え書きを中心に進行します。そして、覚え書きの読者として親戚の大学生が登場します。タキさんが、覚え書きに書いている「小さいおうち」に奉公していたのは、昭和の始め頃です。 東京大空襲…

「漁港の肉子ちゃん」 西加奈子

10代で家を出た肉子ちゃんは、男の人に騙されてボロボロになって漁港に辿り着き、そこでシングルマザーとして土地の人に助けられながら暮らしていく…。 と、いうのがざっくりのあらすじです。「肉子ちゃん」というのはもちろんあだ名で、本当の名前は「菊子…

「ライ麦畑でつかまえて」 J.D サリンジャー

1980年12月8日。 ビートルズのジョン・レノンさんが銃弾に倒れ、撃った犯人がその時ポケットに忍ばせていたのが「ライ麦畑でつかまえて」という本だったというのは有名な話です。 高校生の時にその話を知った私は、早速「ライ麦畑でつかまえて」を購入して読…

「魔女とキリスト教〜ヨーロッパ学再考〜」 上山安敏

とても興味深い内容ではあるものの、私にとってはとてもハードルの高い本でした…(´×ω×`) まず魔女の事を知るには宗教の知識が必要になるからです。この本によると、古代ヨーロッパで広く信仰されていたディアナ信仰は母性宗教であるため、父性宗教であるキリ…