Mayのブログ

読んだ本についての感想など。

「私をくいとめて」 綿矢りさ

主人公は、「ギャル」になれるほど若くはなく、「おばさん」というほどでもない、微妙な年頃の独身女性です。

性格的に少し怖がりなのかな?と思えるところがあり、普通とちょっと違うところがあります。

それは、自分の頭の中にいる別人格と脳内で会話をするところです。

ですが異常というほどではなく、正常の範囲内のようです。

物語そのものに大きな事件などはないのですが、主人公が海外旅行に行ったり、ディズニーランドに行ったり、会社での親しい同僚と会話をしている場面は楽しそうで、言うほど人が苦手そうではなく、


「なんだ普通じゃん。」


と、言いたくなる気持ちになります。

でも実はそこがこの小説の良さなのかなと思いました。

みんな自分のダメな部分をクローズアップしがちだけど、実際まわりの人から見たら、それはそんなダメでもなく、

この主人公に限って言えば、悩みがあってもそれなりに毎日を楽しむ事のできる健全な女性だと私は思いました。

そして読了後には、主人公が体験したクリスマスのイタリア旅行やディズニーのダブルデートなど、まるで自分が体験した事の思い出のような、ワクワクした気持ちが残りました。

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