Mayのブログ

読んだ本についての感想など。

「ブレンダと呼ばれた少年」ジョン•コラピント

読む前から大体の内容が分かっていた本ですが、実際に読んでみると受ける衝撃は想像以上のものでした 8か月で受けた包皮切除手術の失敗により、その後14歳まで女の子として育てられた男性の実話です 彼の経験した事は、多くの人達が抱えている苦悩や社会問題…

「忘れられた巨人」 カズオ・イシグロ

世界史が苦手だったので、アーサー王と言われても「聞いた事あるなあ」ぐらいで、ガウェイン卿に至っては「誰?!」という感じだったなのでどういうスタンスで読むのが正解なのか悩む作品ではあったけど、史実そのものが曖昧な事によって、ある程度の方向性が…

「ハンニバル ライジング」 トマス・ハリス

最近、図書館通いが続いています。そんな、本を選びたい放題の環境の中で私が選んだのが、この本「ハンニバル ライジング」です✨この本が新刊として売られていた頃、私は前作の「ハンニバル」を読んで、思うところがあり、買わずに保留のままで過ごし、年月…

「貧困の光景」 曽野綾子

作者である曽野綾子先生は、過去に日本財団やJOMASという組織に所属しており、途上国の貧困層を支援する活動をされていました。 この本は、その活動を通じて訪れた、アフリカやブラジルの貧困層の事が書かれていて、私の想像すらしなかった思想や環境が存在…

「復讐のトレイル」 C.Jボックス

「復讐のトレイル」は、猟区管理官ジョー・ピケットシリーズの中で私が1番好きな作品です。この作品でジョーは、「ハンター連続殺人事件」の捜査にあたります。捜査はなかなか進まず、犯人像については全くの見当違いで、私から見てジョーはかなりダメダメな…

「リオノーラの肖像」 ロバート・ゴダード

私はたまに小説を読んだあと、「もしもあの時アレがアレでなかったら……」なんて考える事があります。そして今回も、「もしもリオノーラさんのお父さんが戦争にいかなかったら、彼女は家族揃った家庭で幸せに暮らし、兄弟も産まれ、貴族の称号も失われずにす…

「闇の奥」 ジョゼフ・コンラッド

この作品は、映画「地獄の黙示録」の原案になったもので、人種差別などの人間が持つ心の闇や、狂気を感じさせる内容でした。冒頭、小型帆船がテムズ河に停っている平和な描写があり、その後、主人公のマーロウさんが乗り合わせた人たちに思い出ばなしを語り…

「隠し絵の囚人」㊤㊦ ロバート・ゴダード

物語は主人公の伯父が36年間収監されていたアイルランドの監獄から出所してきたところから始まります。伯父は収監された理由も出所した理由も分からない謎の人物です。そんな伯父は、これまた謎の人物から、“ある実業家が所有するピカソの絵が、伯父の昔の上…

新約聖書と献金問題

安倍元総理が亡くなった事をきっかけに、ある宗教団体について、政治家との関係や、宗教2世、献金トラブルなど、様々な問題に目が向けられるようになりました。その中でも私が特に気になったのは、献金問題です。そういえば新約聖書にも献金についての記述は…

「嵐の地平」 C・Jボックス

このシリーズ…毎回毎回感想書くのもなんだかなあ、と、思いつつ、やっぱり書いちゃうよね。猟区管理官ジョー・ピケット、 シリーズ最新刊「嵐の地平」❗️✨…の、感想。今回のお話は、前回から少しだけ続いている部分もあるので、前回の「越境者」も読んだ方が…

「免疫学の巨人」

ニールス・イェルネ(1911-1994)と言う方をご存知でしょうか?1984年、ミルスタイン氏、ケーラー氏と共に、「免疫系の発達と制御の特異性に関する理論と、モノクローナル抗体の生成原理の発見」という、私にはチンプンカンプンの研究で、ノーベル医学・生理…

「ヘルタースケルター」 岡崎京子

…先々週かな。たまたま「ヘルタースケルター」という漫画についての感想ブログを読んだんです。そのブログの作者は女性のようで、読みながら私は、「へー、こういう感想もあるんだ〜」とか思ったりしてました。そう言えば以前テレビで、玉城ティナさんが好き…

「シナプスが人格をつくる」ジョゼフ・ルドゥー著 森憲作監修 谷垣暁美訳

「オヤジ、心って何だろう?ただの電気信号システムなのかな?それとも手でさわって確かめられるものなのかな?」この本は、アニメ「シンプソンズ」の、バートシンプソンのこのセリフから始まります。 こういうと、脳科学の難題も子どもの素朴な疑問も同列の…

「脳科学は人格を変えられるか?」 エレーヌ・フォックス

脳と人格の関係を科学的に分析した内容の本です。楽観的な人格を「サニーブレイン」、悲観的な人格を「レイニーブレイン」と表現して、このふたつの相違を中心に検証しています。自分が楽観的か悲観的かが分かる、簡単な心理テストのようなものもあり、私は…

「孫と私の小さな歴史」 佐藤愛子

最近テレビでは戦争と疫病のニュースばかり…。そんなニュースばかりの気が滅入る毎日を少しでも癒そうと、近所にある「本の貸し出しを行う施設」に、行ってきました。「図書館」…ではないんですよ。まあ、細かい事はさておき、その施設内にある貸し出しコー…

「朝が来る」 辻村深月

✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.望まない妊娠によって出産した女性と、その女性が産んだ子どもを養子として迎えた女性の話です。辻村深月さんの本を読むのはこれが2冊目。最初に読んだ本でも感じた事なのですが、辻村深月さんという作家さんは…

「夏への扉」 ロバート・A・ハインライン

✽.。.:*・゚ ‍⬛✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ‍⬛✽.。.:*・゚ ✽普段ほとんどSF小説を読まない私ですが、なんとなく惹かれるものがあり購入した本です。(2020年12月発行のハヤカワ文庫SF)そして、あとがきや解説を読み、この作品が多くのSF小説ファンに愛され続けてきた事…

「私をくいとめて」 綿矢りさ

主人公は、「ギャル」になれるほど若くはなく、「おばさん」というほどでもない、微妙な年頃の独身女性です。性格的に少し怖がりなのかな?と思えるところがあり、普通とちょっと違うところがあります。それは、自分の頭の中にいる別人格と脳内で会話をする…

パンとスープとネコ日和「今日もお疲れさま」 群ようこ

今回は(私にしては)いつもよりちょっぴり長めの、気合いの入ったブログです。…いや、いつもテキトーという訳ではないのですが…(^_^;) 🐈‍⬛ 🐾🐾🐾🐾🐈‍⬛ ‍⬛この小説は、1話完結型のシリーズ「パンとスープとネコ日和」の、5作めの作品になります。主人公は、スープと…

「ゴールデンカムイ」 野田サトル

9月20日まで「となりのヤングジャンプ」で無料公開していた「ゴールデンカムイ」。 北海道を舞台にしたこの壮大な物語は、函館出身の私にとっては特に胸に刺さるものでした。ストーリーのざっくり説明をすると、日露戦争からの帰還兵、杉元佐一とアイヌの少…

「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」 佐藤愛子

初めて佐藤愛子先生の作品を読んだのは、中学生くらいの時です。もう題名などは忘れてしまったのですが、日常の出来事や、憤怒の体験などを面白おかしく綴ったエッセイでした。それ以来、佐藤先生の本を度々読んでいます。初めて読んでから、考えるともう、…

「越境者」 C・J・ボックス

お馴染みのジョー・ピケットシリーズ、第14弾です。私は全部の巻を読んだ訳ではないのですが、ここまでくると多くの登場人物に親しみを感じるようになり、その事がストーリーをさらに面白くしているのではないかと考えます。 主人公のジョー・ピケットは、猟…

「震える牛」 相場英雄

最初はレイチェル・カーソンの「沈黙の春」のような、環境破壊に警鐘を鳴らす本かと思いました。ですが、そうではなく、ミステリーでした。ミステリーとはいえ、日本の社会問題を描いた、骨太なミステリーです。ここで描かれた社会問題とは、日本の地方に起…

「エブリシング・フロウズ」 津村記久子

津村記久子さんは最近知った中で1番好きな作家さんです。この作者さんのどういうところが好きなのかというと、 「日常のあるある」や「ちょっとヘンだけど有り得なくもない事」が、小説に生かされているからです。あとは、少しクールな感じの主人公が多いと…

「死の島」 小池真理子

小池真理子さんは昔から好きな作家さんです。昔はミステリー、その後、恋愛小説へと作風が変わったなという印象が強いのですが、 この「死の島」という小説は、そのどちらでもありません。「死」に直面した人間の心理を深く追求した小説です。小池真理子さん…

「女子的生活」 坂木司

たまに私は、「今までの人生の中で1番気楽だった時期はいつだろう?」と、考えます。そしていろいろ思い返しながら、「就職をして実家を出て、姉と二人暮しをていた頃かもしれない。」という考えに辿りつくのです。姉とは仲良しで、休日にはよく一緒に遊びに…

「鶏小説集」 坂木司

鶏料理が出てくる小説集です。と言っても、グルメ小説ではありません。 この作者さんの別の作品に「肉小説集」というものがあり、それに関連しているようです。 (続編とかではないようですが) この本に収められている、5編の小説の主人公は、学生や父親や…

「破れざる者たち」 沢木耕太郎

この本は、ボクサーや野球選手、競走馬や長距離ランナーについてのルポをまとめた本です。昭和50年代頃に書かれたものらしい上に、私にはスポーツ全般に対する知識がないため存じ上げない方々ばかりでした。ですがそんな私でも心が動かされる部分が多く、ス…

「小さいおうち」 中島京子

この物語は、女中奉公をしていたタキさんが、若い頃の事を書いた覚え書きを中心に進行します。そして、覚え書きの読者として親戚の大学生が登場します。タキさんが、覚え書きに書いている「小さいおうち」に奉公していたのは、昭和の始め頃です。 東京大空襲…

「漁港の肉子ちゃん」 西加奈子

10代で家を出た肉子ちゃんは、男の人に騙されてボロボロになって漁港に辿り着き、そこでシングルマザーとして土地の人に助けられながら暮らしていく…。 と、いうのがざっくりのあらすじです。「肉子ちゃん」というのはもちろんあだ名で、本当の名前は「菊子…