世界史が苦手だったので、アーサー王と言われても「聞いた事あるなあ」ぐらいで、ガウェイン卿に至っては「誰?!」という感じだった
なのでどういうスタンスで読むのが正解なのか悩む作品ではあったけど、史実そのものが曖昧な事によって、ある程度の方向性が決まり、
さらに解説で作者が「たんなるファンタジーではない」と語ったという事が書かれてあるのを読んで、やはりという確信のようなものを得て読む事ができた
この作品には現代人でも克服できていない問題が描かれていると思う
シビアな現実をファンタジーふうにコーティングしているような不思議な作品に思える
「わたしを離さないで」も悲惨な現実を穏やかな印象に変えている作品に思えたので、これは作者の持ち味なのかも
「わたしを離さないで」も素晴らしい小説だったけど「忘れられた巨人」の方が私の好みには合っていると思った
本当にすごいと思う✨
主人公である老夫婦は、本当に愛しあっているのかなあ?…と、いうのが私の率直な疑問だった
何となくだけど、私はラストを悲観的に考えている
これ、多くの人は……、
もしかしたら作者自身も、この作品は老夫婦の長い長いラブストーリーを描いたものとしているのかもしれない
けど私はなんとなくそんな甘いものではないと思ってしまう
老夫婦はお互いを労りあっているだけなのでは?…と
そうすると、そもそも愛って何だろう?と思ってしまうのだけれど……
人間は過去の出来事を克服できず争ってばかりいるけれど、こんなに古い時代に生きた人も同じだったのかもなあと思えて感慨い
この老夫婦は人類全体の縮図なのでは?
とまで考えたりする
「正義と復讐」は、なかなか印象に残る言葉だった
ウィスタン戦士とガウェイン卿の戦いも印象的だった
死を覚悟し、相手の弱点をつかない奥深い戦い方で、これが騎士道ってやつかと感銘を受けた
#読了
#忘れられた巨人