Mayのブログ

読んだ本についての感想など。

「スニヨンの一生」 佐藤愛子

この本の主役である「スニヨン」は、

1918年に台湾で生まれ、1979年に亡くなっています。

25歳で中村輝夫と名前を変え、日本兵として
モロタイ島で戦い、

そして

日本の敗戦で戦争が終わった後、モロタイ島にひとり取り残され、30年後に発見されるという、

実在の人物です。

この本は、そんなスニヨンについて、関係者の証言を集めたり、当時の事について書かれた新聞記事や手記を引用して作られています。

そのせいか内容にとりとめがなく、読んだ後にまとまった感想が思いつきませんでした。

と、言う訳で、とぎれとぎれになってしまった感想ですが、それをいくつか書いていきたいと思います。


「スニヨン」は、戦時中には「中村輝夫」
戦後には「李光輝」(リクワンホエ)と、名前が2回変わっています。
本書で、「スニヨンの一生」と、「スニヨン」という最初の名前をタイトルに使っているのは、それは何故か?
それは…、
李光輝が亡くなった時、最後に奥さんが「スニヨン!スニヨン!」と呼んだからかな?と思いました。

また、10年間彼を待ち続けて再婚した彼の奥さん。「李蘭英」さんについて、
再婚相手と戻ってきた元夫とはゴタゴタします。
それでも、奥さんは李光輝が帰ってきてとても嬉しそうでした。
それを私は、「乙女心かな?」と、思いました。

台湾の人々の証言は全然洗練されていなくて、その事が余計に心の中をそのまま見ているような、不思議な迫力があるなあと思いました。

李光輝が、記者から
「30年間取り残されたのは無駄な時間だったと思うか?」と、質問を受けた時、
「なにが?」と、怒ったような声で反問したあと、
「おくにのために行ったんじゃないか………しょうがないじゃないか。」と、言ったのが印象的でした。

…などなどが、私のとりとめのない感想です。


戦争の話になると「もう二度と戦争をしてはいけない!日本人は反省しなければ!」
という考えがセットになる事もあります。

でも、本書ではそんな教訓めいたものは一切感じられず、

ただ、激動の時代を懸命に生きた人々の、ありのままの姿を伝えたい、という作者の想いを感じました。


※この本は、私が主人に「超お高いの!」と、愚痴ったら、安く売ってるサイトを見つけて買ってくれた本です。感謝感謝😊💕