「破れざる者たち」 沢木耕太郎
この本は、ボクサーや野球選手、競走馬や長距離ランナーについてのルポをまとめた本です。
昭和50年代頃に書かれたものらしい上に、私にはスポーツ全般に対する知識がないため存じ上げない方々ばかりでした。
ですがそんな私でも心が動かされる部分が多く、スポーツを通じて極める事の奥深さや人間にとって幸せな一生とは何か?…という事を考えさせられます。
イシノヒカルに関しては人間ではなく馬ですが、競走馬の一生もまたどうなのだろうと思ったり、関わっている人間たちをどう見ているのだろう…と、思ったり……、
また、冒頭のカシアス内藤さんが極める事に苦戦しているのに対し、最終章の輪島功一さんはどんな状況でも「前に進む」事で、極めるとはこういう事なのか…?と、思わせてくれたり……、
長嶋茂雄さんというスターと同期だったために実力があるのに注目されなかった野球選手がいたり……。
中でも榎本喜八さんは超越した感じで、この人の肉声をもっと聞きたかったなと思いました。
遺書を残して自死した長距離ランナー円谷幸吉さんの章では、スポーツが人の一生を変えてしまう事もあるのかと感じた……と、言うか…、
ただただ悲しくやり切れない思いが残りました。
読み終えたあとに、なんだかスゴい本を読んでしまったなと思いました。