Mayのブログ

読んだ本についての感想など。

「隠し絵の囚人」㊤㊦ ロバート・ゴダード

物語は主人公の伯父が36年間収監されていたアイルランドの監獄から出所してきたところから始まります。

伯父は収監された理由も出所した理由も分からない謎の人物です。

そんな伯父は、これまた謎の人物から、

“ある実業家が所有するピカソの絵が、伯父の昔の上司から盗まれたものだという証拠を見つける"

という依頼を受けます。

その依頼を甥である主人公に手伝わせ、行動を共にするうちに、少しずつ伯父についての謎が解かれていく……

と、いうのが大まかなストーリーです。


謎だらけやないかい(´・ω・`)


とはいえ、その謎が解かれていく過程に
この小説の面白さがあるのです。

ストーリーは、伯父の回想する1940年と、主人公が伯父と行動を共にする1976年を行ったり来たりします。

そして、最後にほんの少しだけ2008年の出来事が描かれていて、

過去の時代に生きた人々も様々な思いを抱え、それが現在、そして未来へとつながってゆくのだなあ……と、しみじみ考えさせられます。

伯父は、「出所したらのんびり暮らす」みたいな事を、前半部分と後半部分で言っているのですが、

似たような内容のその言葉が、伯父の人間性を理解した後半部分では重みが感じられました。

どんなに辛い過去もそれをやり直す事は出来ません。

またそれが誰かのせいだったりすると、復讐したいという気持ちが押さえられなくなるのも当たり前だと思います。

けれどもその気持ちを押さえて、辛い過去は頑張って忘れる。

結局それが1番良い事なのだと、伯父は自分の人生を振り返って言いたいのだろうなと思いました。

辛い過去を乗り越えるのはなかなか難しい事です。

でも、乗り越えた先に見える景色は、より美しいものなのかもしれません✨


ところでこの小説、私にはちょっと引っかかるところがあります。

登場人物が多くてすぐ「誰?!」ってなるところと、なにげにまわりくどい文章で、謎の解明部分がすんなり入ってこないところ、

それとあと、主人公のカノジョさんが殺人を実行しようとするんだけど、そんな怖い人と親しく付き合うのは、私だったらちょっと考えちゃうけどなあ…ってところです。

まあ小さな問題です。