この作品は、映画「地獄の黙示録」の原案になったもので、人種差別などの人間が持つ心の闇や、狂気を感じさせる内容でした。
冒頭、小型帆船がテムズ河に停っている平和な描写があり、その後、主人公のマーロウさんが乗り合わせた人たちに思い出ばなしを語り始めます。
かつて蒸気船の船長していたマーロウさんは、イギリスが植民地支配をしていたアフリカ大陸のコンゴ河を仕事で航行していました。
途中、各商社の出張所に立ち寄ったり、現地人に襲われたり、ヤバい光景を目撃したりで
私はなんだかディズニーランドのアトラクション「ジャングル・クルーズ」みたいだなあと思いました。
仕事の主な内容はというと、ジャングルの奥地にある出張所の所長クルツさんに会いに行く事です。
クルツさんは、みんなからすごいすごいと言われている人で、病気で亡くなってしまうのですが、最後に、
「The horror!The horror!」
と、言う言葉を残して亡くなります。
そして、これがこの本を読んだ者の間で物議を醸しているのです。
horror…、私の買った本には「地獄」と訳されています。
けれどもロバート・ゴダードさんの「悠久の窓」という小説では「恐ろしいものが」と、訳されてます。
この言葉について、クルツさんは白人の植民地支配に対して「地獄だ!」と言っているとの解釈や、また、ジャングルの奥地にある闇に対して「恐ろしい」といった、など、様々な解釈があります。
この言葉を使った作者の真意はどこにあるのか……?
謎めいているところがよきです✨
ところで、私の考えとしてはどうなのか、稚拙ながら少しだけ語らせていただきたいと思います(*ᴗˬᴗ)
私は考えは、ロバート・ゴダードさんの解釈に近いかもしれません。
「恐ろしいものが」
です。
その「恐ろしいもの」とは、人間の醜い欲望が産んだお化けみたいなものかな……?
だってクルツさん、象牙を扱っているんですよ。
しかも大量に。
ヤバいですって。
クルツさんが亡くなる前、現地の巫女のような女性が、何か、儀式のような動きをしているところをマーロウさんが目撃しているのも気になります。
それとあと、クルツさんが突然、
「蛮人どもは皆殺しにしてしまえ!」
なんて、唐突に報告書に書きなぐってしまった事も、そのお化けに取り憑かれたからかな?なんて考えてしまいます。
それか、お化けでなければクルツさん自身もまた気が狂ってしまったのだと思いました。
私は人種差別うんぬんより、人間が持つ欲望の恐ろしさを、この小説にみたような気がします。
それにしても、クルツさんの死を知った婚約者の嘆きっぷりは強烈だったなあ……
ドン引きしたマーロウさんが思わず嘘を言ってしまう訳だけど、あの嘘、万が一バレたら大変な事になるんじゃないかなあと思うと気が気でないです(-ω-;)