Mayのブログ

読んだ本についての感想など。

となりの怪物くん

この漫画は長女が大好きな漫画です。

そして私も大好きです。

 

読むのは3回目ですかね〜。

内容分かっていても、いちいち感動してしまうんですよ…。

 

まあ、ゴリッゴリの少女漫画なのですが、恋愛あり友情ありの感動作です。

主人公の水谷雫ちゃんは、シベリアツンドラ地帯の妖精さん(隠喩表現)で、他人に全く興味を持たない勉強一筋の女の子(ガリ勉女と呼ばれている)です。

それが高校に入学して、破天荒な吉田ハル君という男の子との出逢いによって変わっていく訳です。

まあ、少女漫画のお話としてはありがちですよね。

でも、中身は人間関係ごっちゃごちゃの複雑な内容です。

 

ところで他人に興味がないはずの雫ちゃん。

ハル君になつかれた事がきっかけとなり、お友達もできたりします。

そのお友達の1人に、夏目あさこちゃんという女の子がいます。

その子はモテすぎが原因で、中学ではハブられるという暗い過去の持ち主です。

そんな過去を持つ彼女なので、友達というものに強い憧れを抱いているのです。

そして雫ちゃんと親友になって、雫ちゃんのために常に全力で行動する彼女は、容姿の可愛さとはまた違った可愛さがあり、とてもいい味です。

 

その夏目ちゃん、雫ちゃんの彼氏のハル君とも大の仲良しです。

でも、恋愛とはほど遠い関係です。

ハル君が可愛くてモッテモテの夏目ちゃんを好きにならないのは、「人を好きになるのは見かけだけではない。」からなんですかねー。

それはそうなのですが、その理由はソコだけじゃないのです。

まあ、その辺の面白さは漫画を読まないと実感できないところです。

 

この漫画には魅力的なキャラがいっぱい出てきます。

ちょっといろんな意味で極端なキャラです。

そういう部分が話を面白くしたりもしていますが、基本、この漫画は高校生のピュアな心を描いた青春物語だと私は思います。

高校生って、こういう純粋な気持ちを抱えて悩んだり成長したりするものよね…と、自分の高校時代を懐かしく思い出したり、友達の暖かさに感動したりするのです。

ご存知の方も多いかもしれませんが、この漫画は映画になってます。

ハル君役が菅田将暉さん、雫ちゃん役が土屋太鳳さんで。

長女は「イメージ違う!」ってちょっと怒っていましたが、こういう場合、漫画は漫画、映画は映画として楽しめばよいのではないかと私は思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカイ クロラ 森博嗣

この本の主人公が戦闘機のパイロットという、死と隣り合わせの仕事をしているせいか、前半はずっと、読みながら「死」について考えたりしていました。

 

うーん…でも、掴みどころのない小説ですね。

読んでる時はすごく感傷的な気持ちになると言うか…不思議な感覚になります。

文章自体は端的なのに、いろいろな想像力をかき立てられるのです。

 

でも、主人公が戦闘機に乗って空を飛んでる時の描写はちょっと感じが違っていました。

他の戦闘機と戦う描写には迫力があり、それ以外の、空を飛ぶ感覚や空からの景色などの描写はリアルでした。

 

そんなこんなで物語を読み進めていった訳ですが、最後は一気にそれまでの謎が明かされる…みたいな急展開がありました。

 

それまでの謎だった事が解決されて、新たなパラドックスにおちいる…みたいなカオスな展開でした。

 

読み終わって、「うーん…そっかぁ。」と、言いつつ、何も分かっていないような感じです。

きっとこれは情報よりも情緒を重視した小説…。

それとも情緒よりも自己とかそういう、もっと複雑なもの?

だから掴みどころがないのかな?…と、思ったりもしました。

 

それでも小説全体の舞台設定…基地の様子やパイロット、空を飛ぶ戦闘機などからイメージする世界には、何となくワクワクするところがあります。

文章全体があっさりとしていてテンポが良いので、とても読みやすい物語でした。

他のシリーズも読み進めていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たかが猫、されどネコ 群ようこ著

タイトルどおり、猫エピソード満載のエッセイです(^^)
しかもアレです。
この著者さんは、今までにも猫エピソード満載のエッセイを書かれており、この本は、その中でもよりすぐりの作品を収めた逸品という事になるのです。

そんな中でも私が1番好きなのは、「噂好きの猫」の話です。
猫と一緒に暮らしている方なら1度は思った事があるはずです。
「ウチの猫今喋った!」とか、「ウチの猫は絶対人間の言葉を理解している!」とかね。
けどそれって、飼い主の気のせいなんじゃないの?なんて、よく言われたりもします。
でも、私は気のせいだけではないと思うのです。
そして、この本の猫も、噂話にはガッツリ聞き耳をたてている様子なのですが、それを想像すると可愛くてたまらなくなります。
あと、この本の著者さんが自分の猫と会話している時の様子も想像すると可愛いのです。
猫って不思議な魅力のある可愛らしい生き物だなあって、つくづく思います。

しかし!猫の良さは外見の可愛らしさだけではありません。
この本ではブサイクな猫を保護する話もあるのですが、そんなブサイク猫でも可愛いところがあり、著者さんも放っておけないと、なんだかんだで世話をします。
名前は「ぶー」だし、顔がデカいだの猫のオッサンだの、散々な言い方をしてはいるのですが、愛情があっての言葉だと思うのです。
この猫はブサイクだけどもなかなかのお利口さんで、私はイイと思いました。
私はブサイク猫やデブ猫も結構好きです。
なので、著者さんにはちょっとしたシンパシーを感じます。

けれども、「連休前には捨て猫が増える」と書いてある部分には少し胸が痛みました。
可愛いだけで飼って、面倒になったら捨てるなんて事は、誰にもして欲しくないと思います。

この本のように、猫はいろいろな表情を持っている、不思議な魅力のある生き物です。
猫好きならスイスイ読めちゃう内容だけど、そうではない人にとっても、猫という生き物に対する考え方が変わる本なのではないかと思います。

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不思議な少年 マーク・トゥエイン

この物語の舞台は1590年のオーストリア、人々のおおらかな暮らしぶりや、牧歌的な美しい風景描写の記述から始まります。

ところが物語を読み進めていくうちに、そんなあまっちょろい物語ではない事を思い知らされていくのです。

ある日、主人公とその友人達の前に、自らをサタンと名乗る美しく魅力的な少年が現れます。

時間も空間も自由に操ることができて、なんでもできる不思議な少年です。
ところがこの少年は、人間に何の関心もなく、主人公やその友人達以外の人間にはとても辛辣なのです。

人間の振りかざす「良心」が醜いとまで言います。

確かにこの時代の人々は、悪事を働いた人間に対してはとても冷淡だと私も思いました。

魔女裁判や、罪人には拷問をしていた時代です。

なので私もサタンの言う事も一理あるなあと、思ったのです。

けれども私も人間です。

心ならずも醜い行動をとってしまう可能性はあるのです。

そう考えるとサタンの言葉は自分に向けられたような気になり、心に刺さります。

人間である自分が悲しく思えてくるのです。

いっそ犬になりたいと…。

何故なら、この物語には心の美しい犬がでてくるからです。

飼い主に酷い目にあわされても、それでも飼い主を慕う犬…。

この犬は良心なんて知りません。

けれども人間より美しい心を持っているのです。不思議です。

美しい心を持つ人間もいないわけではありません。

善良な神父さんもいます。

けれども泥棒の容疑で裁判にかけられたりなど、この本の中では踏んだり蹴ったりの目に合っています。

この物語では、占星術師や偽善的な神父、気の毒な人間やお金持ち、いろいろな人間が登場します。

そしてそれらの人々に対するサタンの行う行為や言動は厳しいものでした。

その厳しさのあまり、正直、私の頭の中にストーリーが入ってこないという事が起こったほどです。

美しい風景描写から始まる物語なのに、こんな、人間について深く考えさせられる物語だったなんて…と、びっくりさせられる内容の本でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はんだくんとばらかもん

私はたまに、好きな本を読む気もなくなるほど心が疲弊する時があります。
そんな時どうするかというと、漫画本を読んで心を癒しているのです。
いや、漫画も本ですけど…。

そんな訳で今回読んでみたのは、「はんだくん」と「ばらかもん」、この2つの漫画です。
初めて読む訳ではなく読み返しです。
アニメ化もされてる人気漫画なので、ご存知の方も多いかもしれません。

まずはあらすじをざっと説明します。
ばらかもん」は、有名な書道家(の息子)である半田清という若者が、離島に住む事になり、その離島での暮らしぶりを描いた漫画です。

そして「はんだくん」は、「ばらかもん」の主人公である若者の学生時代を描いた漫画です。

すごいざっくりとした感じの説明になってしまいましたが、こうしてあらすじだけを説明すると、なんとも地味な印象です。

ですが、どちらの本も登場人物のキャラが濃く、そこからくる人間関係の面白さが読みどころとなっています。

はんだくん」の登場人物は、キャラが濃いどころかもうほとんど頭がオカシイ域です。

それもこれもこの漫画の主人公である半田清という若者が原因となっています。
主人公に関わる人間は、彼を好きになりすぎて精神のバランスを崩してしまうという設定なのです。
はんだくん自身はとても地味な性格なのに…。

一方、「ばらかもん」の登場人物はそこまで頭のオカシイ人はいません。
キャラは濃いですが、田舎のひと特有のたくましさがあり、そこが面白いところなのです。
はんだくん」では主人公がまわりの人をオカシクしてしまいましたが、「ばらかもん」では逆に、主人公が田舎の人々の影響をうけて変わっていきます。

もう一度言い方を変えて説明しますが、「ばらかもん」と「はんだくん」の主人公は同一人物で、「ばらかもん」の主人公は、「はんだくん」の主人公の数年後の姿です。

ちょっとややこしいです…。

この2つの漫画はどちらも面白いだけではなく、人間の優しさや主人公の成長する姿などが描かれています。

読み返した後、人と人とのかかわりあいも悪くないな…なんて、ちょっと思えちゃったりする漫画です。

 

哀しさ優しさ香しさ 曽野綾子

かねてから私は、ソノアヤコさんのいう、「やらないよりかはマシと言う言葉が好きではない。」との言葉の真意が分からず、共感出来ませんでした。

たとえ一円でも募金しないよりはマシでしょう?それのどこがいけないの?…と。

でも、この本を読んで「ああ、成程。」と、思いました。

それは、「人道主義を貫くなら自分は損する覚悟、または死ぬ覚悟すら必要な場合もある。」…みたいな文章を、この本の中にみつけたからです。

曽野綾子先生が言いたいのは、「痛みをともなわない、ちょっとくらいの“イイコト”をしただけで調子乗んな」って事なのかな?と、思いました。

曽野先生の言葉って、いつも単純に解釈できないのです。

けど私は、そのちょっとの“イイコト”は、社会を良くするのに役立つので、それはそれで良いと思うのです。

 

「善行」というよりは、「社会システムに役立つ事」として好意的にみればよろしい

そしてそれは、「善行」ではないと理解していれば。

そう言う考えに至り、私は自分なりに納得ができてスッキリしました。

 

他にも、フジモリ元ペルー大統領をかくまった時のエピソードや、人権、教育問題、外交、政治などについての興味深い内容が、この本には盛り沢山でした。

そしてそれらについて、聖書の言葉を引用して考察されてる箇所がいくつかあり、曽野綾子先生ならではだと思いました。

だいたい1999年前後の出来事ではありますが、現代にも残る問題がたくさんあります。

今の日本の問題点を考える時に、参考になるのではないかと思いました。

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「ハックルベリー・フィンの冒険 」

昔「トム・ソーヤーの冒険」というアニメをみていたのですが、この本は、そのトムソーヤの友だちのハックが主役の物語なのだなあと思いました。
上、下巻の分厚い本です。

内容をざっくり説明すると、なんやかんやで自分を死んだように偽装したハックと、逃げ出した黒人のジムが一緒に旅をする事になり、その間いろいろな出来事に遭遇するというものです。

ちょっと今のモラルからかけ離れていて、ビックリするような内容でした。

まずこの時代のアメリカ(1830~40年)では、黒人は奴隷として扱われ、自由はなく、自由を求めて逃亡するような黒人を捕らえる事が正義だというところにビックリです。

さらにハックの父親がとんでもなくヒデェ奴で、自分の子供のお金を奪おうとするわ殴るわ監禁するわで…ホントこの時代のアメリカ、一体全体モラルはどうなっちゃってるの?と、いう感じでした。

でもその一方で、ふらりと家にやってきた旅の途中の子どもに食事を振舞ったりする心優しい人たちもたくさんいたりしたので、なんとも不思議な時代だなとも感じました。

つーか、これフィクションだから、まるまる信じるのもどうかと…。

ちょっと今の時代といろいろかけ離れているせいか、共感ポイントは少なく、正直上巻の途中では、ちょっぴり飽きてしまった部分がありました。

でもそんな時、冒頭の「この物語に動機を見出さんとする者は告訴せらるべし。ここに教訓を見出さんとする者は、追放せらるべし。筋を見出さんとする者は射殺せらるべし。」という著者の命令の言葉に勇気をもらい、読んだ内容入ってこなくても気にせず読み進めていく事ができました。

なので正直言って、上巻はイマイチ。
まあ上巻は物語の前置きみたいな内容だったのかな、とも思います。
下巻は、登場人物のキャラも立っていて読み応えありの印象でした。

私的には、王様と貴族のフリをするペテン師2人組のくだりがお気に入りです。
このペテン師たちに、ハックは寛大だったと思います。

ハックは平気で嘘をつくし、父親はろくでなしなので、街の人たちからはあまりよく思われていなかったかもしれません。

ですが彼は、自由で、自分の心に正直で、心の優しい少年だったと思います。

下巻の後半では、トム・ソーヤーも登場してハックと一緒に黒人のジムを自由の身にするための計画を進めます。
そこは子ども2人組の無理無理の計画なので、結局は大人にバレてしまう訳ですが、ジムの心の美しさや、大人たちの見せる優しさのおかげで、ジムは自由の身となり、結果オーライの結末でした。
物語が丸く収まった事に、私も清々しい気持ちになりました。

この本は図書館で借りたのですが、本当は「不思議な少年」という本を借りるつもりでした。ですが、その本と同じ作者のマーク・トゥエインさんの本を読んでみたいと思い、この本を借りる事にしました。
おかげで古き時代のアメリカへタイムスリップした気分になれました。