スカイ クロラ 森博嗣
この本の主人公が戦闘機のパイロットという、死と隣り合わせの仕事をしているせいか、前半はずっと、読みながら「死」について考えたりしていました。
うーん…でも、掴みどころのない小説ですね。
読んでる時はすごく感傷的な気持ちになると言うか…不思議な感覚になります。
文章自体は端的なのに、いろいろな想像力をかき立てられるのです。
でも、主人公が戦闘機に乗って空を飛んでる時の描写はちょっと感じが違っていました。
他の戦闘機と戦う描写には迫力があり、それ以外の、空を飛ぶ感覚や空からの景色などの描写はリアルでした。
そんなこんなで物語を読み進めていった訳ですが、最後は一気にそれまでの謎が明かされる…みたいな急展開がありました。
それまでの謎だった事が解決されて、新たなパラドックスにおちいる…みたいなカオスな展開でした。
読み終わって、「うーん…そっかぁ。」と、言いつつ、何も分かっていないような感じです。
きっとこれは情報よりも情緒を重視した小説…。
それとも情緒よりも自己とかそういう、もっと複雑なもの?
だから掴みどころがないのかな?…と、思ったりもしました。
それでも小説全体の舞台設定…基地の様子やパイロット、空を飛ぶ戦闘機などからイメージする世界には、何となくワクワクするところがあります。
文章全体があっさりとしていてテンポが良いので、とても読みやすい物語でした。
他のシリーズも読み進めていきたいと思います。