Mayのブログ

読んだ本についての感想など。

「ハックルベリー・フィンの冒険 」

昔「トム・ソーヤーの冒険」というアニメをみていたのですが、この本は、そのトムソーヤの友だちのハックが主役の物語なのだなあと思いました。
上、下巻の分厚い本です。

内容をざっくり説明すると、なんやかんやで自分を死んだように偽装したハックと、逃げ出した黒人のジムが一緒に旅をする事になり、その間いろいろな出来事に遭遇するというものです。

ちょっと今のモラルからかけ離れていて、ビックリするような内容でした。

まずこの時代のアメリカ(1830~40年)では、黒人は奴隷として扱われ、自由はなく、自由を求めて逃亡するような黒人を捕らえる事が正義だというところにビックリです。

さらにハックの父親がとんでもなくヒデェ奴で、自分の子供のお金を奪おうとするわ殴るわ監禁するわで…ホントこの時代のアメリカ、一体全体モラルはどうなっちゃってるの?と、いう感じでした。

でもその一方で、ふらりと家にやってきた旅の途中の子どもに食事を振舞ったりする心優しい人たちもたくさんいたりしたので、なんとも不思議な時代だなとも感じました。

つーか、これフィクションだから、まるまる信じるのもどうかと…。

ちょっと今の時代といろいろかけ離れているせいか、共感ポイントは少なく、正直上巻の途中では、ちょっぴり飽きてしまった部分がありました。

でもそんな時、冒頭の「この物語に動機を見出さんとする者は告訴せらるべし。ここに教訓を見出さんとする者は、追放せらるべし。筋を見出さんとする者は射殺せらるべし。」という著者の命令の言葉に勇気をもらい、読んだ内容入ってこなくても気にせず読み進めていく事ができました。

なので正直言って、上巻はイマイチ。
まあ上巻は物語の前置きみたいな内容だったのかな、とも思います。
下巻は、登場人物のキャラも立っていて読み応えありの印象でした。

私的には、王様と貴族のフリをするペテン師2人組のくだりがお気に入りです。
このペテン師たちに、ハックは寛大だったと思います。

ハックは平気で嘘をつくし、父親はろくでなしなので、街の人たちからはあまりよく思われていなかったかもしれません。

ですが彼は、自由で、自分の心に正直で、心の優しい少年だったと思います。

下巻の後半では、トム・ソーヤーも登場してハックと一緒に黒人のジムを自由の身にするための計画を進めます。
そこは子ども2人組の無理無理の計画なので、結局は大人にバレてしまう訳ですが、ジムの心の美しさや、大人たちの見せる優しさのおかげで、ジムは自由の身となり、結果オーライの結末でした。
物語が丸く収まった事に、私も清々しい気持ちになりました。

この本は図書館で借りたのですが、本当は「不思議な少年」という本を借りるつもりでした。ですが、その本と同じ作者のマーク・トゥエインさんの本を読んでみたいと思い、この本を借りる事にしました。
おかげで古き時代のアメリカへタイムスリップした気分になれました。