Mayのブログ

読んだ本についての感想など。

「猫のよびごえ」 町田康

私が町田康さんを初めて知ったのは、30年位前に姉が買っていた日本のロック専門雑誌で、です。

当時姉は、ストリートスライダーズというバンドのファンで、私はTMネットワーク松岡英明さんのファンでした😊💕

まあそれはさておき、そんなふうに町田さんは、もとはバリバリのパンクロッカーだった訳です。

その後、芥川賞を受賞されたり、「パンク侍切られて候」という小説が映画化されるなど、音楽活動だけでなく執筆活動でも活躍されるようになりました。

そんな経歴をお持ちのせいか、町田さんの文章にはそこはかとなくユーモアやメロディが感じられます。

この「猫のよびごえ」は、町田さんが一緒に暮らしている猫たちとの日常を綴ったエッセイです。

可愛らしい猫の写真つきのエッセイは、他に「猫にかまけて」「猫のあしあと」「猫とあほんだら」の3冊があります。
どれも面白おかしい内容です(ちょっと泣けるところもあるけど)

ですが私はこのシリーズの最終巻である、「猫のよびごえ」が1番好きです。

始めの頃より猫達との会話も阿吽の呼吸になっているし、新しく保護猫を迎える度に町田さんが記憶喪失になってしまうのも面白い。

でも、亡くなった保護猫達の事をすぐに書けなかった町田さんの優しさが私は1番好きです。

「みんなが生きていたこと、生きた時間を書いていきたい」
この本にはこんな事が書いてます。

またそれとは別に、黒猫王子のエルという猫は
「真心も下心も同じ心ですよ。心は心です。……」
と言っています。

猫についての本を書く事は、真心ではあるけれども下心でもあるのでしょうか…?


エルの言葉について考える町田さんの心の揺れが、この「猫のよびごえ」で、猫のフォトエッセイシリーズをおしまいにしようとした理由かな?などと私は勝手に考えてしまうのです。