Mayのブログ

読んだ本についての感想など。

「詩的私的ジャック」 森博嗣

この小説は、森博嗣先生の作品の中でS&Mシリーズと呼ばれている、
大学生の西之園萌絵ちゃんと犀川先生のコンビが事件を解決するミステリー小説です。

私がS&Mシリーズの中で読んだ事があるのは、
この「詩的私的ジャック」と、「すべてはFになる」の2冊だけです。

どちらも犯人の犯行動機がハッキリ分からないミステリーでした。


今回読んだ「詩的私的ジャック」では、篠崎敏治という、つかみどころのない登場人物がとても印象的でした。

彼は、前半何を考えているのか分からない怪しい人物なのですが、
後半、「なんてピュアなひとなんだろう!」と感動させられる人物です。

そして、大学生の萌絵ちゃんは一途で可愛らしく、事件を解決する犀川先生は少し風変わりです。

犀川先生の発言は、作者の森博嗣先生の考え方をそのまま反映しているようなところがあり、
事件の謎解きの場面で
「動機なんて理解できない。」とか、
「こんな欲望は言葉に還元できない。」とか言っちゃいます。

こんな調子だから犯人の犯行動機も分からないままなのですが、
それらの言葉は私にはとてもリアルに感じられました。


私にとってこの小説を面白いと思う理由は、リアルな犀川先生の言葉の中にあるのかもしれないなと思いました。