「ほろにがいカラダ」 藤堂志津子
この本は「桜ハウス」という作品のシリーズです。
と言っても、それぞれ独立したストーリーなので、前作を読んでいなくても楽しめます。
登場人物は「桜ハウス」に住む女性達です。
それぞれ年齢はバラバラで、独身やシングルマザー、バツイチなど、生き方もさまざまです。
この本は、そんな女性達たちの、それぞれの恋愛ドラマで構成されています。
この、「桜ハウス」の大家である蝶子さんは50歳の女性です。
12歳年下の既婚男性と、かなり特殊なお付き合いをしています。
そんな蝶子さんの恋愛ドラマは切ない結末を迎えます。
そして蝶子さんは、その恋愛話を誰にも話さず、美味しいゴハンを作ってはそれを食べたひとに、
「嬉しい。大好き。」と、言われる事に癒されているのです。
私は、そんな彼女の気持ちが切ないくらい分かります。
「桜ハウス」に住む女性達は、みんな変わった恋愛をしています。
熟年の恋愛ごっこやセフレのような関係、そして不倫です。
その割に、恋愛ドラマにありがちな、感情的な描写は少ないです。
本書もそうなのですが、この作者さんは、どこか物事を俯瞰しているような作品が多く、
そんなところが私にはとてもしっくりくるのです。