Mayのブログ

読んだ本についての感想など。

「ついに、来た?」 群ようこ

この本は、8つの短編からできている本です。

全て親の介護をする娘目線のエピソードであり、なかなか感慨深いものがありました。

最初の短編「母、出戻る?」は、53歳の母親が、家出をして好きな男性の所へいってしまうという仰天のエピソードです。

2つ目の短編、「養父、探す?」は、優しかった養父が老齢になり、認知症の症状がでてくる話です。

3つ目、「母、歌う?」は、歳をとって健康でいられるのは大切だなあと実感させられる話です。

4つ目、「長兄、威張る?」は、複数の人達で介護を分担する話で、
5つ目、「母、危うし?」は、離れて暮らす主人公の母親が、悪い人に騙されかける話です。

6つ目、「叔母たち、仲良く?」では、老齢である主人公の叔母さん2人についての話。
架空の豆の煮物の事でケンカをする2人の叔母さん達が、なんだか可愛いなあと思いました。

7つ目、「母、見える?」では、夫に浮気の上離婚され、反抗期の息子と認知症になり始めた母親を持つ女性の話。
息子に「くそばばあ」と言われ、「ばばあではあるが、くそではない。」と冷静に反論するこの女性は偉いなあと思いました。

最後、8つ目の「父、行きつ戻りつ」では、現役で働くしっかりものの男性が、老齢でちょっとおかしな行動をとるようになる話。
2人の娘さんや会社の部下の人たちが、男性に気を遣いながらあたふたと対応する所が面白く、ほっこりするところがありました。

全編を通して淡々と語られていて、重くなりがちな介護の話を面白くさせているところが、流石、この作者さんだなあ、と、思いました。

私も、自分が介護する側になってもされる側になっても、優しい気持ちを忘れないでいられたらいいなあと思いました。