「ネコと昼寝」 群ようこ
「ネコと昼寝」。
私ならこのタイトルでゴハン3杯はいけます。
…って、ネコは食べ物じゃないし。
私はただ、それくらいステキなタイトルだと思ったのです。
この本は、群ようこさんの「れんげ荘」物語のひとつです。
主人公キョウコさんは、いろいろあって仕事を辞め、貯金を切り崩す生活をしています。
家賃節約のため、「れんげ荘」というボロアパートに住み、倹約倹約の毎日です。
そんな中、私が注目したのは「れんげ荘」の住人さん同士の交流です。
お隣に住むオシャレな年配女性クマガイさんや、宇宙的魅力を持つチユキさん、海外を飛び回る元気なコナツさんなど、彼女達は個性的だけどもイイ人なのです。
さらに今回は、カワイイ訪問者も現れます。
キョウコさんが「ぶちお」と名付けたネコです。
アパートにふらっと訪れては、ちょっとお邪魔して帰る…キョウコさんにとって「ぶちお」は、まるで気まぐれな恋人のようです。
でも、私もほんのちょっとだけ、彼女の気持ちが分かるような気がします。
猫とのお昼寝は私にとっても至福の時間なのです。
「働かない」という選択をしたキョウコさん。
日々悩み考える真面目な性格の彼女に好感が持てます。
この物語は地味ではあるけれども、逆にそれが現実的で飽きのこないストーリーになっているのだと思います。