「SOSの猿 」 伊坂幸太郎
この本は私が、
「元気が出るために本を買おう…、でも、もうこの世にいない人の本は辛くて読めないなあ…。」
などと考えながら、迷いに迷ったあげくに買った本です。
どういうお話かと言うと、他人からのSOSを無視できない主人公が、無力な自分に悩みつつ、悪魔祓いのノウハウを使って引きこもりの男の子を救おうとするお話です。
何故タイトルが「SOSの猿」なのかと言うと、主人公が悪魔を祓おうとしたら、孫悟空がでてきちゃったからです。
まず読んでみて思った事は、世の中そう単純にできてはいないと言う事です。
悪い出来事が起きるのは悪い人間のせい?
…ではなく、悪い出来事にはいくつものヒモがついているようだ…、と。
この小説の中では猿(孫悟空)の働きによって、いくつものヒモが1本に繋がっていき、あれの意味はこれの事?など、後半いろいろ分かってきて楽しかったです。
物語の合間に、「人の気持ちは本当には分からない。」とか、「自分の気持ちを言ったところでそれは文章化されたものだ。」とか、「暴力はどんな時にも悪い事?」など、哲学的な言葉に出逢ったりするのは、この作者ならではだと思いました。
誰かを助けたいと思う気持ちとはどういうものか…?
私もこの小説の主人公のように悩んでいます。
けど結局最後に思った事は、私の知らないところで誰かに誰かのSOSが届いて、届いたSOSから誰かがスゴい絵を描いちゃったりしてるのだとしたらびっくりだなあと言う事です。