「愛にもいろいろありまして」 平安寿子
最近の若者は恋愛してるのかな?と、思う。
最近の若者は、賢いし、恋愛以外の娯楽もいっぱいあるし、異性よりも自分が好きそうだし…。
だから
恋愛についての本なんて、読まないかもしれないと思った。(本じたい読まないのかも…?)
この「愛にもいろいろありまして」という本は、7つの短編からできていて
その短編ひとつひとつを読むと、その名の通り「愛にもいろいろなあるんだなあ…。」と、考えさせられる。
それは、男女の恋愛ではなく、もっと広い意味の愛だったりする。
登場人物は、少し変わった人が多い。
そして、その中でも特に私が印象深いと思った人物が5人いた。
1人目は、好きな男性から頼まれた事を、好きな男性よりも大事と思ってしまうようになる女性。
この女性は、恋愛で得るものよりも大切なものを手に入れたのかもしれないと思った。
2人目は、昔はロックミュージシャンでカッコ良かったけど今はそうではなく、自分の娘をふざけた名前で呼ぶ男性。
アレコレ考えて前に進めない娘を、根拠のない言葉で力強く後押しする男性に頼もしさを感じた。
3人目は、躊躇なく、何人もの難あり男性と関係を持つ女性。理由は「可哀想だから」。
ちょっと見た目問題について考えさせられる短編。
この女性の生き方は、それはそれで良いと思えるものだった。
4人目は、ストレートの男性に恋をするゲイ。
ゲイというマイノリティーであるゆえにか、恋愛についての姿勢は潔いと思った。
5人目は、お舅さんの介護をしていた若いお嫁さん。
優しいというより、無邪気な性格で介護を乗り切ったお嫁さんが可愛くて良かった。
この5人の人達は、賢くはないかもしれないけれど、賢い人よりもスゴいんじゃないかと思わせる何かがあった。
この本は、登場人物の個性によって、おかしな方向へ展開するストーリーと、全編やり切った感満載の清々しい終わり方をするところが良かった。
心をえぐる言葉がちょいちょい出てくるので、多くの人に読んでもらいたいと思った。